占い方

筮竹を用いる方法

正式な占筮に使う用具としては、筮竹(ぜいちく)、算木(さんぎ)、筮筒(ぜいとう)、掛肋器(けろくき)の4つが必要です。

筮竹は、細い竹の棒を50本使います。卦を立てる時、象数を出すために用いるのです。

算木は、四角な正方形の板に、陰陽の印や八卦を表示したものです。筮竹を捌いて得た数を八卦に当てはめて、その象を表示するのに使います。

筮筒は、始めと終わりに筮竹をまとめて置くものです。

掛肋器は、筮竹を数えたものを掛けておくものです。

筮法には、本筮法、中筮法、略筮法の3つがあります。

本筮法

十八変筮法ともいい、筮竹を十八回操作します。繋辞伝に出ている伝統的な方法ですが、時間がかかり手間が大変なので、実際の易占ではほとんど使われません。

中筮法

六変筮法ともいい、筮竹を六回操作します。中筮法は、時の勢いの変化・消長・移り変わりの予測を主眼として併せて内容を究明する筮法です。特に事柄の移り変わりや成り行きをみる占法に適していて、売買や交渉・契約に用いられます。江戸時代の易学者真勢中州は「真勢流」としてよくこの中筮法で占法をしています。

略筮法

三変筮法ともいい、筮竹を三回操作します。三変筮法は、筮竹を用いる易占法のなかで一番方法が簡単で、事の可否や重点をみるのに使われます。江戸時代の有名な易学者、新井白蛾(はくが)が「易学小筌」で行なったもので、明治時代の易聖、高島呑象(どんしょう)もこの三変筮をよく用いたといわれます。

略筮法の要領はつぎの通りです。

まず最初に五十本の筮竹の下部を左手で軽く握り、筮竹の中ほどを右手でそっと支えるようにして、額の上に捧げ、尋ねることを頭に思い浮かべ精神を統一します。次に中から一本を抜き取って、机上の筮筒の中に立てて、これを太極(自然万物の根本で陰陽変化の根元であり、生々発展して八卦を生むと考える一大元気)とします。

残り四十九本の筮竹の手元を握り扇状に開きます。易神に祈念し精神集中し、無心で筮竹を右手で二分します。右手に取った筮竹を掛肋器に掛けます。その中から一本取って、左手の小指と薬指の間に挟みます。

次に左手につかんだ筮竹を、八払いしていきます。春夏秋冬と各二本ずつ四度取り出してもよいし、一本二本三本と数えながら八本ずつ取り出してもよいですが、最後に八で割り切れない数が残ります。それと小指にはさんだ一本を加えたものが、得られた卦の象数です。

一本残った場合、乾
五本残った場合、巽
二本残った場合、兌
六本残った場合、坎
三本残った場合、離
七本残った場合、艮
四本残った場合、震
八本残った場合、坤

となります。これを算木に表し、上卦(外卦)とします。この操作をもう一度、行なってこれを下卦(内卦)とします。これで大成卦が得られました。

つぎに、爻位を得る操作です。四十九本をまた左右に分けて、右の一本を左の小指にかけ、左手の筮竹を六本ずつ(二本ずつ三度)数えていきます。小指の一本を加えて残りの数が一本なら初爻、二本なら二爻、三本なら三爻、四本なら四爻、五本なら五爻、残り六本なら上爻(一番上の爻)となります。こうして大成卦(本卦)変爻(動爻)が得られます。

これで、上卦、下卦と爻位が得られたました。筮竹で得られた上卦・下卦を算木を使って示します。算木には陽と陰のしるしがついています。筮竹は集めて筮筒にしまい、算木はそのままにして、それを見ながら占考に入ります。

筮竹を用いない方法

本筮法は、煩雑なばかりで時間もかかり実用的ではありません。中筮法や略筮法も筮竹や算木を用意しなければならないといった不便さもあります。そこで、いつでもどこでも占うことのできる、簡便でしかも結果的には筮竹で占うのと全く同一効果を持つ占いの方法を、いくつか紹介してみることとします。

大切なことは、形式的な操作技法ではなく、占いを行う者の真撃な態度と、与えられた答えの正しい解釈にあります。筮竹という竹の細い棒を用いるのも、本来は蓍(めどぎ)という草の茎を用いていたものの代用品です。筮竹が無ければ、あるいは正式の技法でなければ、易はできないと考えてはなりません。

コインを使う方法、サイコロによる方法、パソコンにプログラムを細み込んで行う方法、任意に開いた本のぺージで見る方法、出会う人の男女の別、自動車のナンバーなど、数字か陰陽(奇数か偶数か)の別がつくものであれば、何でもよいのです。

3枚のコインで占う方法 → 疑似中筮法

100円玉を3枚用意します。心を静かにし、占いたいことを思い浮かべます。そして3枚のコインを投げます。3枚とも表ならば老陽、2枚が表ならば少陽、2枚が裏ならば少陰、3枚とも裏ならば老陰です。この占いで初爻が決まるので、何かに書きつけておくといいでしょう。老陽と老陰が出た場合は、爻の横に印をつけておきます。この作業を6回繰り返して大成卦を求めます。

3枚のコインで占う方法

6枚のコインで占う方法 → 疑似略筮法

コインを10円玉5枚、100円玉1枚用意します。両手にそのコインを入れて、混ぜます。占的を念じながら無心に振ります。振り終わったら、手中のコィンをランダムに取り出し、必ず下から順に上に並べていきます。コインの表は陽、裏は陰とし、100円玉は爻位とし、大成卦を求めます。

コイン6枚で占うか?3枚で占うか?

6面体サイコロ3個で占う方法 → 疑似中筮法

これは、3個の6面体のサイコロの目の奇数(陽)と偶数(陰)とにだけ注目して占う方法です。コイン3枚を用意して、その表(陽)と裏(陰)とのみによって占う方法と同じです。

3個のサイコロを使用する場合、全部が奇数の場合を老陽とし、全部が偶数の場合を老陰とします。また、2個偶数で1個が奇数の場合を少陽、2個奇数で1個が偶数の場合を少陰とします。

そこで実際に占う場合、初爻から一爻ずつ上爻まで、陰陽いずれかを決めていくわけで、全部で6回サイコロを振って初爻から上爻までノートに記入し、大成の卦を立てていきます。

その場合、肝腎なことは、老陽と老陰とは変化し、老陽は少陰に、老陰は少陽に変わるということです。ですから、老陽や老陰が六爻中にある場合、最初に得た大成卦(本卦)そのものが、全く異なった大成卦(之卦)に変じていくことになります。これを本卦から之卦に変わるといいます。

8面体サイコロ2個と6面体サイコロ1個で占う方法 → 疑似略筮法

色違いの八面体のサイコロ二個(赤地のものと黒字のもの)と六面体のサイコロ一個と、合わせて三個のサイコロを用意します。

これは、同時に一緒に転がして出たサイコロの目を数えるというやり方で、八面賽占筮法として専門家の間でも普及している方法です。

この方法ですと、八面体に出たサイコロの目1・2・3・4・5・6・7・8を、乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤に対応させて、1がでれば乾であり、2が出れば兌というふうに、簡単に八卦二つが得られるわけです。

その場合、常に赤のサイコロを下卦、黒のサイコロを上卦と決めておけば、どんな時でも、どこでも、大成卦(六十四卦)による本格的た易占いが可能となります。

また、同時に振って出た六面体のサイコロの目は、初爻から上爻までの六爻のどれかに当たりますから、例えば5が出れば、その卦の五爻を指すことになります。

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